その他

崎山蒼志と『はまあこばこ』 written by ボンゴ

※ 2019/8/19 Dump the noiseへ掲載 (2018/7/19)したコラムを転載

まえがき

バズる前のストーリーをとのオーダーであるが、私は別に崎山蒼志の全ての活動を知っている訳ではないので、情報が断片的なものであることはご了承いただきたい。ライブ情報も自分が関わったものしかわからない。既に忘れていることも多いくせに長文ですが、どうぞお付き合い下さい。

出会い

初めて崎山蒼志くんに会ったのは2016年2月、私がStrawberry Shakersで出演していた、浜松上島のLive Café なんでモールでの萬(yorozu)ライブだった。Café とはいえ独特の雰囲気を持つなんでモールは日曜の昼下がりでもライブ中は真っ暗で、ステージでスポットライトを浴びる当時13才の少年は、どう見てもその雰囲気にはアンマッチだと感じた。お母さんに連れられてやってきたその少年を微笑ましく眺めていた私は、曲が始まった途端にあんぐりと口を開けたままステージに釘付けとなった。私は曲を聴くときに詞ではなく音から入るので、最初の驚きはギターだった。正直、コードだとかテクニックだとかはギター弾きでもないので詳しくはわからない。けれど、それが「感嘆するほど上手い」という事くらいはわかる。もちろん荒削りではあったし、曲によってはテクニックに偏った感もあったけれど、中学・高校年代の成長速度を考えたら13才時点のパフォーマンスとしては驚愕のレベルだと感じた。

この時だったか、次の共演時だったか、記憶が定かではないが、五月雨もこの頃に聴いており、イントロで引き込まれた事はよく覚えている

K-mix神谷宥希枝の独立宣言 ザ☆オーディションvol.8

その約1年ほど前の2015年3月に、大好きなアーティストの1人である未来-miku-さん目当てで観に行った音楽天国浜松市野店でのライブで当時中学2年生だったおおたりお(Rio)ちゃんを知り、2016年3月、中学3年で予選を勝ち抜いたこのオーディション本選を応援しに行った。そして、同じくここに蒼志くんも勝ち進んできていた。2人は同じ浜松地区予選を勝ち抜いて来ているので、予選の時には既に会っていたのだろう。私自身は残念ながらこの年の予選を観に行っていないが、中1と中3の2人が勝ち抜いた浜松地区予選、別に学生だけが出るオーディションではない、本気でプロを目指しているアーティストもエントリーしているオーディションであり、そこを勝ち抜いてきた2人の凄さは浜松の音楽シーンを既にザワザワとさせていた。ちなみに、蒼志くんはこの前年、小6でKIDS Aとしてもこの本選に出場していた。私は残念ながらそれも観てはいないが、バンドでもソロでも勝ち抜いてきた実力に、改めて驚いた。そして、この2人は記録に残しておかねばと感じ、ビデオの録画ボタンを押した。

Change / Rio

眠りにつく前に / 崎山蒼志


そして、後に共演もする長嶋水徳さんがVocalの当時高校1年生のバンドPlug and Prayも気になってビデオに収めた。

醜い蝶 / Plug and Pray


結果は、りお(Rio)ちゃんがオーディエンス賞、蒼志くんがグランプリを受賞。

( Plug and Prayは翌年Vol.9でソロ部門の鈴さんと共にバンド部門でグランプリ受賞 )

グランプリの副賞は、音楽天国浜松市野店での1曲レコーディング&その音源によるK-mix での1ヶ月間メガプッシュである。

ちなみに音楽天国浜松市野店の店長は超有名アーティストのレコーディングにも携わっていた凄い方なので、アーティスト的にはこれはなかなかのご褒美なのである。

さて、ラジオでのメガプッシュ…とはいえ、今のご時世ラジオを聴く人が減っており、正直そこまで話題になることはなかった…

ヤマハMUSIC BASH

K-mix オーディショングランプリ受賞後に再びなんでモールで共演する機会があり、迷わずビデオを撮った。

13才の崎山少年を観にお金を出して会場に足を運ぶお客さんは正直この頃はまだ殆どいなかったが、この時期に「どうしても観たい」と訪れたのが、後に共演もするatomicfarmのVo.&Bassで静岡のライブハウス騒弦の現店長でもある、もよぽんである。この時のもよぽんの興奮ぶりはとても印象に残っている(笑)。そして、逆に蒼志くんもatomicfarmが好きで、もよぽんが来た事に大興奮していた。

そして何度か共演する中で、私は偶然知ったヤマハの全国オーディションであるMUSIC BASH U-15部門への応募を薦めた。この時、私はまだKIDS A(当時の表記はKIDS’A) の演奏を観たことがなかったので、ソロを想定していたのだが、KIDS Aで応募して見事に音源審査を勝ち抜いた。

https://yamahamusicaudition.jp/music_bash/

そして、いざ決勝大会が近付いてきた頃、「東京にはあまり行かないから場所がよくわからない」と話していたところに、偶然私の出張予定が重なり、会場のある目黒にも過去に出張などで行きなれていた事から勢いで引率することになった(笑)

かくして、2016年10月30日、浜松駅で待ち合わせをして新幹線で東京へと向かった。

訪れた決勝の舞台、そこはさすがに全国から集められたアーティストがひしめく場なので、驚くほどにレベルが高かった。U-15部門と一般部門に別れていたのだが、U-15部門…つまり中学生以下でも全国にはこんなにたくさん凄い子達がいるのか…と驚嘆した。そんな中でU-15部門のラストで登場したKIDS Aは緊張した様子もあまり見せず見事な演奏を披露した。(本番前はもちろん緊張してました)

KIDS‘A


ちなみに…である。この時蒼志くんは風邪(?)で38℃ほどの熱を出しており、朝からボーッとした状態であった。( えっ、元々ボーッとしている? )

そんな中でも見事にグランプリを獲得したKIDS Aを新幹線改札までお見送りして、私は夜の街へ…ぃゃ、別のライブ(ミュージカルか)を観に行った

フリーライブとカフェライブ

ヤマハMUSIC BASHという全国オーディションでグランプリを穫ったものの、副賞に10万円分の楽器(キーボード3つにしたんだっけ?)を貰ったくらいで、巷でそれほど騒ぎになることもなかった。そんな頃に話していた内容は、要約するとこんな感じだ。

  • 中高生はなかなか有料ライブには来られないし呼べない(友達は来られない)
  • 中学生の演奏をお金出して観に来てくれる人は少ない(大人も来ない)
  • ライブハウスやライブカフェ等でのライブはノルマがあったり出演者も支払が必要だったりして出る度にコストが嵩み(特に、中学生である以上親も帯同するから親の分もかかる)負担が大きい → たくさん呼べる人はバックが貰えるが、呼べないと赤字

そんな環境ではせっかくの素晴らしいアーティストでも演奏機会がなくなってしまう。

そして、ちょうどこの頃、自分自身でも考えていたことがあった。

  • アーティストは「知って貰う機会が無ければお客さんを増やせない」

これは中高生に限った話ではない。メジャーな訳ではない、地元で活動しているアーティストは、出来るだけたくさんの人に知ってもらい、100人に1人…ぃゃ、1000人に1人かもしれない潜在顧客に発見してもらってリピーターになって貰わなければならないのだ。いつも同じ箱で、いつも同じお客さんだけを前にライブをしていても、(もちろんそのお客さん達は有り難いのだが)「増える」ということには繋がらない。特に浜松におけるアコースティック系のライブは、同じお客さんがあちこちのライブに足を運ぶ構図になっており、実質お客さんの奪い合いになってしまっている。どこかで注目ライブがある同じ日にハシゴも出来ない別の場所でライブを開催すると閑古鳥が鳴く事態になる。

だから、裾野を広げなければ…と考えて、普段ライブを観ない人達にライブを観る機会を作ろう!…と、私はPA機材を買い集めライブカフェではない普通のカフェでライブを開催するという試みを始めた。

その初回(2017年1月28日)は未来-miku-さんとうたらさん。2回目(2017年4月22日)は、朋さんとおおたりお(Rio)ちゃん、3回目(2017年6月3日)はHIROさんと素すう、そして4回目(2017年7月22日)が、蒼志くんと鈴さんでのライブとなった。

http://sceneblog.hamazo.tv/e7498430.html

http://sceneblog.hamazo.tv/e7552931.html

20名程度しか入らないカフェでの至近距離(最前列のお客さんまで1mくらい?)ライブはいずれも大成功となったのだが、「普段ライブには行かない(ライブハウス等は敷居が高いと感じてしまっているような)カフェのお客さんに気軽に足を運んでもらいたい」という思惑は少ししか達成出来なかった…。
(会場となった『Scene』はとても珈琲が美味しい名店なので、機会があれば訪れてみて欲しい)

一方で、蒼志くんとりおちゃんも「公共スペースを借りてフリーライブを行う」という試みを始めていた。

2016/08/13【レポート】クリエイティブガラ

2016/11/24【イベントレポート】クリエイティブ・ガラ 

しかし、Cube Street 1本だけの音はイマイチ寂しい!そこで、せっかく買った機材を活用するという意味もあって、協力してやりましょう!という事になった。最初は、カフェライブ第1回の直前2017年1月21日、機材のテストも兼ねて…だった。

2017/01/23【イベントレポート】クリエイティブガラ

はままつ街中アコースティックフリーライブ

そうして、カフェライブなどと並行でフリーライブを開催していくことになった。蒼志くん、りおちゃんを中心とした若いアーティストを中心に、「知って欲しい」アーティストも織り交ぜながら。記憶が定かではないが、4月9日のForceで会った時にハママツ街中アコースティックライブについて会話したのだったか?

崎山蒼志 『大気中にて』

ハママツ街中アコースティックフリーライブ第1回 2017年5月3日浜松駅バスターミナル地下広場

http://www.at-s.com/sp/event/article/concert/346953.html

出演者: Strawberry Shakers、崎山蒼志、Rio、藤田充、朋

この日は、浜松祭り。全国から数十万人が訪れる浜松の一大イベントで、駅周辺を行き交う人もとても多い。そんな日にバスターミナル地下広場という交通要所でのライブなので、入れ替わり立ち替わりではあるが、とても人は多かった。最大時で100名くらいはいたと思う。

ハママツ街中アコースティックフリーライブ第2回 2017年7月17日クリエート浜松ロビー

http://www.hcf.or.jp/facilities/create/event/detail.php?id=19750

出演者:Strawberry Shakers、崎山蒼志、Rio、神戸奏汰、鈴、camisole、朋

夏の暑い時期、梅雨が明けるかどうかという時期…でも支障がないように…と、クリエート浜松のロビーを使ったライブ。白い壁と高い天井の素敵な空間でのライブはいつも暖かく幻想的な雰囲気を漂わせてくれた。

ハママツ街中アコースティックフリーライブ第3回 2017年8月20日浜松駅バスターミナル地下広場

https://m.facebook.com/events/442281386127465/

出演者: Strawberry Shakers、cana、MAST、sunk cost garden、Rio、崎山蒼志, 山作戰、うたら、朋

ゴールデンウイークのライブが盛況であったことと、やはり「人通りの多い場所」で多くの人に観てもらいたいという想いから、再びバスターミナル地下広場で開催。真夏なので、無料で冷たいお茶を配ったりしながらの開催であった。

ハママツ街中アコースティックフリーライブ第4回 2017年9月18日クリエート浜松ロビー

http://www.hcf.or.jp/facilities/create/event/detail.php?id=20028

出演者: Strawberry Shakers、崎山蒼志、Rio、神戸奏汰、素すう、藤田充、雛吉桃世、朋

再びクリエート浜松ロビーを利用。人通りは期待出来ないのだが、なにせ使いやすい。広いロビーでは学生なども勉強しながら聴いてくれたりする。

やらまいかミュージックフェスティバル KIDS A

毎年10月には浜松街中に多数のステージが設置されて2日間で200組以上のアーティストが演奏する『やらまいかミュージックフェスティバル』が開催される。浜松のみならず全国から応募があるのだが、浜松のアーティストにとっても毎年恒例のお祭りである。

浜松はクラシック&吹奏楽勢力が非常に強い。駅前のキタラでは毎週末のように吹奏楽のプロムナードコンサートが開かれるが、全国にその名を轟かすような吹奏楽団が登場したりするのだからその人気は絶大だ。さらに、国際ピアノコンクールなどもあり、クラシック系から少し外れても10月にはハママツジャズウィークなども大々的に開催される。ポップス系の音楽には意外とハードルが高い街なのである。しかしながら、一方で駅前でのストリートライブをお巡りさんに止められることなく堂々と行える街でもあり、音楽の街として盛り上げようということで「やらまいかミュージックフェスティバル」も開催されている。

蒼志くんは2017年にはKIDS Aとして参加していた。2日目10月8日U-18ステージとして、多数あるステージの中でも一番端にある決して集客には良いとは言えない場所での登場ではあったが、蒼志くんの高校受験に伴ってしばらく活動休止することが伝えられていたからか、観ておかねばということで多数のお客さんが道路に溢れるほど駆けつけていた。特徴的なのは、お客さんに占める音楽関係者の多さだろうか。ミュージシャン仲間やイベンターなどが、一般のお客さんより多かったのではないかと思う。

この時、私は約1年ぶりにKIDS Aを観たのだが、そのパフォーマンスに圧倒された。蒼志くんも眼鏡を外して荒れ狂い(笑)、その演奏もアコースティックの弾き語りとは全く違うイメージで荒々しくも繊細な演奏で、他のアーティストを観る為に途中でその場を離れようとしていた自分はその演奏にその場を離れることを躊躇い結局KIDS Aを最後まで観てしまったのだった。

香りの公園 遠州Web TV

やらまいかミュージックフェスティバルの翌日2017年10月9日、遠州Web TVのライブが磐田市JR豊田町駅前にある「香りの公園」で開かれた。途中でピックを落として指が…で話題となったライブである。このライブは最前列で観ていた。正確に言えば、お客さんはほぼ最前列しかいなかった。広い公園なので、横に広がっていたというのはあるが、地元の有力アーティストがたくさん出演しているフリーライブでも郊外に人を集めるのは難しい。

ちなみに、遠州Web TVはそもそも配信がメインなので、カメラが複数台設置され、スイッチングもされながらの本格的な映像が残るのが嬉しいポイントだ。

活動再開

蒼志くんが無事に受験を終えて活動を再開したのは3月の終わり。

New Style Live《塔》vol.1 2018年3月31日クリエート浜松創造活動室

http://www.hcf.or.jp/facilities/create/event/detail.php?id=20816

出演者: Strawberry Shakers、崎山蒼志、Rio、よねち、雛吉桃世、Spoon

人気のある出演者がいることももちろんではあるが、「このメンツ(組み合わせ)は観たい」と思って貰える事は大事だ。例え人気があっても共演者まで含めて興味を持たないと有料ライブに足を運ばない人が多いのも、浜松アコースティック界隈の特徴かもしれない。
(多数のライブを観に行く人が、よりお得なライブを観たいと思うのは自然な流れだ)

そういう意味でもこの「塔」vol.1 は面白い組み合わせのライブになったのではないかと思う。

崎山蒼志 『日』

ハママツ街中アコースティックフリーライブ第5回 2018年4月29日クリエート浜松ロビー

https://www.hcf.or.jp/facilities/create/event/detail.php?id=21113

出演者: 崎山蒼志、Rio、諭吉佳作/men、長嶋水徳(ex Plug and Pray)、もよぽん(atomicfarm)、うたら

蒼志くんが受験を終えて満を持しての再開。蒼志くん&りおちゃんに加え、atomicfarmのもよぽん、この年のK-mixオーディション本選で知って衝撃を受けた14才(当時)諭吉佳作/menや、高校卒業に伴ってPlug and Pray解散後ソロ活動を始めたばかりの長嶋水徳(8月26日の村騒動で共演予定)も加わったこのライブは、当時から「このライブは絶対伝説になる!」と関係者は興奮していた。ちなみに、このライブでトリを飾った「うたら」さんも、県内のテレビCMだけでなくその後「千葉マリンマラソン公式テーマソング」に採用されるなど今や全国的な活躍を見せてくれている。

2018年5月3日 歌庭~ウタニワ~

http://www.at-s.com/sp/event/article/concert/478811.html

出演者: ハル&ひろき、花野、KYO-CHAN、萌花(ほのか)、日向ほの、諭吉佳作/men、崎山蒼志、Rio、神戸奏汰

いつも以上に若手中心で編成したライブ。浜松祭の賑わいが波及してくれればと思ったが、お祭りを観に来た方々の導線からはやや外れた場所であった為、通り掛かりに立ち止まったという人は少なくお客さんは20名程度だっただろうか。この日MCで「こんど日村がゆくという番組に出るので観てください」と言っていた騒動前夜であった。

崎山蒼志 『迂回』

日村がゆく

Abema TVは何度か観たことがあった。好きなアーティストが出る時に。逆に言うと好きなアーティストが出るなどのお目当てがないと観ることが無かった。だから正直どの程度の反響があるのか予想がつかなかった。自分自身はギリギリまで仕事をしていて、慌ててスマホで見始めた。駐車場の車で観ていたが、出番が遅そうだと感じて急いで帰宅した。ちょうど家に着いた頃に出番となり、娘に「ほら、蒼志くんテレビ出てるにー」(遠州弁)と声をかけつつそのままスマホで観た。さて、番組終了直後から反響が気になってTwitterで検索してみた。ちらほらと反応を見付けて、蒼志くんのことを知っている自分のフォロワーさんたちに反響を知らせる為に片っ端からリツイートした。つまり、自分が片っ端からリツイート出来るくらいの数だった。ネットの番組、しかも元々音楽の番組なわけではないから、音楽ファンがそれほど多く観ているわけでもない。まぁ、こんなものか…と思った。ただ、反応自体は好意的なものばかりだったので、そのまましばらくリツイートを続けていた。数日後、ある人が動画を紹介しているツイートの「いいね」数が9万とかに伸びているのに気が付いた。最初は見間違いかと思った。その人が誰だったのかちゃんと覚えていないが、結果的にそのツイートがゲスの極み乙女。川谷さんに届いた。早送りボタンを押したような怒涛の2ヶ月が始まった。

2018年5月20日 まるたま市

出演者: TOMI&KUMI、崎山蒼志、Rio、SUNSET BARIQUANDS、日向ほの、MAST、鈴、だいちゃん(Palm in the Sun)、鈴木健太郎

Abema TV 出演直後の週末の有料ライブは正直閑古鳥だったそうだ。まるたま市はバズった後としては最初のライブで、浜松街中でのフリーライブということで、ネットでは浜松行きを表明する人が続々と現れ、歴史が動き出した瞬間を目の当たりにしている興奮と、そのライブでPAを担当することの恐怖が交錯した。なにせ、前半に書いた通り私機材である。とは言え、初めて「生の崎山蒼志」を観る人が殆どだから、出来うる限り最高の音でその凄さを体感してもらいたい…とスタッフ一同燃えていた。当日は中日新聞の取材も入り、蒼志くんもインタビューを受けたり、駆けつけた方々から声をかけられたり…と、今までにない「ライブ前」の時間だった。本人は「そろそろ『(人間観察バラエティ)モニタリング(TBS)』の看板が出てくるんじゃないかと思ってます…」なんて話していたが、そんな不安(?)をよそに、最初のTOMI&KUMIが始まる頃には会場いっぱいに人が集まり異様な熱気となっていた。ちなみに、KUMIさん(りおちゃん母)から「大勢集まって緊張するから、緊張感をお裾分けする」という意味不明な理由で(笑)直前にコラボを打診された私も少し出演した…。

続いての蒼志くんの演奏はいつもよりアドレナリンが出まくった熱いものだった。PA側も、あまりにも人が多くて音が飛ばないことからギリギリまで出力を上げていたので、その圧力に拍車をかけていたかもしれない。それでも、本人は大勢の前で演奏出来ることに大きな喜びを感じていたのだろうと感じた。こういう場でこういう演奏が出来るのは大物だなと改めて思った。
(ちなみにこの記事のトップにある写真は、蒼志くんの本番前にギターの音が出なくて「焦っている」時のものである笑)

蒼志くんの後にはおおたりおちゃんの出番だった。既にコラボ動画が話題となっていたこともあり、多くの人が残ってくれていた。しかし…である。仕方がないことではあるが、お目当ての2人が出番を終えた途端、あっという間にお客さんがいなくなってしまった。これが現実だ。わかってはいた…が、結局こういう状況が「崎山蒼志」がそれまでなかなか「見つからなかった」理由でもあるので正直言うととても悔しかった。もちろん、この後にも素晴らしいアーティストが出てくることを知っている地元ファンは残っていた。例えば6月の音苑でも多くの方から絶賛された鈴も、この日午後に出演していたのだから。
(話は飛ぶが7月1日のRoxyでもKIDS Aの直後に多くのお客さんが帰ってしまい、トリの素晴らしいバンド…蒼志くんの前年にK-mixオーディショングランプリを穫った「そのひぐらし」…を観なかったのはもったいない!と思った)

2018年6月17日 音苑

出演者: 諭吉佳作/men、おおたりお、鈴、崎山蒼志

今だから言うが、この音苑の開催はまるたま市よりも前から決まっていた。しかし、当初予定していた会場は別の場所であった。準備の過程で、多くの人が訪れる事が予想された為に会場側から安全の為に場所の変更を打診され、会場警備の準備(三角コーンのレンタルなど)や道路使用許可など手続きが完了して正式に開催が確定出来たのは、ライブ前々日のことである。元々混乱を避ける為にギリギリに告知することを考えていたが、結果的にはギリギリにしか告知出来なかったのだ。

前日の告知ではあったが、まるたま市を経て、Yahoo!トップ掲載や相次ぐテレビ出演、Pepper誕生日動画出演などで、多数のお客さんが遠方から来ることは容易に想像出来た。しかしながら、そんなにたくさんのお客さんが来るイベントを行ったことがあるスタッフがいるわけでも無く、会場警備も何とか数を合わせたような状況で、安全に運営出来るか…が一番の心配事であった。予想通り多くの方が訪れたが、皆さんのマナーが想像以上に良く、とても協力的に観ていただけたことから無事に終える事が出来た。終演後には、蒼志くんの前に大行列ができ、さながらツーショット撮影会のようになった。たまたま近くにいた自分が撮影を頼まれ、その後ずっと撮影係になってしまった(片付けがぁぁぁと思いつつ笑)のだが、多くの方が熱い想いを蒼志くんに伝えていて、その熱を感じることが出来た。ちなみに、元々はこのライブは7月22日に行うライブ「塔」vol.2 のプロモーションとして考えていた。しかしながら、塔のチケットは既にプラチナ化しており、結果的にはこのライブはそのプラチナ感を促進したのではないかと思う。崎山蒼志だけでなく、こんな素晴らしいアーティスト達が出演するのだと、皆が気付いたのだ。

諭吉佳作/men 『night pool』

おおたりお 『Twilight Sky』

鈴 『雨の日』

崎山蒼志 『狭い広い街』


このライブが終わった頃はまだ、周囲の関係者は「ブームは落ち着くだろうから地元で今まで通り」というモードであったのだが、落ち着くどころか加熱して広がっていく勢いは、フェス参戦発表や配信開始など、今も衰えることなく加速している。しかし、崎山蒼志は突然現れた訳ではない、隠れていた訳でもない。YouTubeには何年も前から動画が多数アップされていたし、ライブも毎週のように行っていた。オーディションでグランプリも穫っている。ラジオでも流れていた。やっと「世間」に見つかっただけなのだと思う。そして、タイプは違えど他にもまだ見付かっていない素晴らしいアーティストはたくさんいるのだ。もちろん、そういったアーティストは浜松だけではなく全国にたくさんいるのだろうが、浜松にも静岡にもいるのだ。また、人によって好みは様々であるから、全員に全アーティストが引っかかる訳でもないだろう。皆さんには、こういった色々なアーティストを観て聴いていただいて、見付けて欲しい。7月22日の「塔」vol.2 はそんなライブなのだ。塔に出演するアーティストは殆どが今までのフリーライブなどで蒼志くんと共演してきた人たちだ。崎山蒼志は「見付かって」ここから新たなステージへと駒を進めた先駆者となった。『次』を見付けるのも楽しみの一つだ。

おわりに

フリーライブをしていると、箱(ライブハウス等)に対して迷惑なのではないかという声も聞こえてくる。しかし、箱側も集客はアーティストに頼らざるを得ないのだから、アーティストが如何に多くの人に知られるかが大事なのだ。音や照明などステージングの観点から言えば、フリーライブでは出来ないことが箱ではたくさん出来る。良い場所で観たいというお客さんをたくさん連れて行けるようになれば良いのだ。そしてもう1つ、浜松は音楽の街と呼ばれているのだが、一部では「楽器の街であって音楽の街ではない」という声も聞こえる。音楽を聴く・観るという事に対して思っているよりハードルが高いのだ。もっともっと音楽で溢れて欲しい。私がシンガポールを訪れた時、週末の繁華街では音楽が溢れていた。歩いていると、ほんの数百メートル程度の間でも店内、店の軒先など、数え切れないほどライブをしていてみんな音楽を聴きながらお酒を飲むなど楽しんでいた。これだ!と思った。浜松もこんな風に日常の中に音楽が溢れていて欲しい。そして当たり前のように誰もが気軽に演奏する側・歌う側に立つことができ、そこから崎山蒼志のようなスターが現れるのだ。…そんな想いを共有する地元の仲間達が「はまあこばこ」という名の下に集った。「浜松のアコースティックを盛り上げる箱」である。「はまあこばこ」の仲間達はそんな「場作り」の1つとして、才能ある若手の成長の場(場数を踏むことは大事だ)と、気楽に音楽に触れられる場を今後も提供していきたいと考えている。崎山蒼志のストーリーはその中から生まれてきた1つなのだ。

※「はまあこばこ」ツイッター:@hamaakobako

Author

Name:ボンゴ

Twitter:@bongodct

Profile:アコースティックユニット『Strawberry Shakers』を中心にカホン奏者として活動する一方、イベント企画やPA、アーティストの活動サポートなども行いつつ、年間のライブ観覧はプロアマ合わせて60本以上にも及ぶ音楽好き

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